冬枯れた、冬至の童仙房美しいなあ。

霜にあたった花木が赤紫に身を細らせている様子に、
ふと覗き込んだ小道の、すっかり色が抜けた草々と枝ばかりになった奥の山の重なりに、
はっと子どもの頃の景色が戻ってきて、どきどきと心臓が早くなります。

寒さには年々弱くなっているけれど、北国の、海辺の町で育ったんだなあとふっと思うときがあります。
岩手の林檎を食べても思うし、
宮古の新巻鮭を食べても、また思います。冬の海風にあたった、特別な味です。

三陸に住む私たちにとって、鮭は特別な生き物でした。私にとってはヒーローと言ってもいいくらいです。すっかり白くぼろぼろになった鮭たちが重なるようにして川を上がってくる姿、歳の瀬になるとどの家のベランダにも新巻鮭が並び、それを数えながら学校に向かいました。春先には鮭の稚魚の放流をします。
鮭は4年後に生まれた川に戻ってきます。来年以降も鮭は戻ってくるのでしょうか。