kiringrafica

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2008/01/26

—忠臣蔵/溝口健二

ちょっと時期をはずしましたが、忠臣蔵です。忠臣蔵、好きですか?私はもう大好きです。小さいころ、母にせがんでよく寝床で話してもらったものだ。一番好きなのは、布団に手を入れて「まだ温かい」という場面。さーて溝口健二さんの忠臣蔵は??

冒頭の長い廊下がゆーっくりと映るシーンにわくわくする。しかし台詞のほとんどが聞き取れず、おまけに4時間もの。残念だなあ、半分も見れなかった。
字幕がほしい。字幕付きのがあったら再挑戦したいです。

2008/01/25

***E.T./スティーブン・スピルバーグ

E.T.!!
1983年、そう、小学生のころ、指先をあわせて遊んだり、自転車に大きなかご乗っけたり、イニシャルがE.T.の人をからかったり、我らの心に住む、どこかやさしい存在、E.T.。
やっぱり今見ても、そのやさしさは変わらないし、私のところにも来ないかなって願うところも変わらない、いいよね。

話しはすっかり忘れているんだけれど(E.T.がつかまるところもすっかり忘れていた)、細部に(そう、そう)と思い出す。大きなクローゼット、並ぶ人形。巨木が閑散と並ぶ林、ママチャリじゃない自転車。ピザを頼んだり、ピーナッツバターやチーズ、体温計を口にくわえること、そう、アメリカの生活にも憧れがあったなぁ。

少年とE.T.のお別れのために大人が席をはずすの、いいね。

2008/01/25

**-大いなる幻影/ジャン・ルノワール

1937年、第一次大戦下のドイツ捕虜収容所の話し。
おもしろかった。ジャン・ルノワールの映画って苦手かな、と思っていたけれど、この監督の描く男の人、好きだ。おどける捕虜も、貴族の大尉も、背中に銀板が入っている収容所長も、それぞれに格好よかった。
人物描写が愛情にあふれていてよい。きっとルノワールって、だってしょうがないよ、って感じでいっぱい愛人がいるんだろうなあ。
最後の脱走中の話しは余計だと感じた。脱走した将校が友人のところに戻ってくるところなんかで終わっていたらもっと興奮していたはず。

2008/01/22

**-黄金狂時代/チャーリー・チャップリン

チャップリンです!
実は初めて見ました。負けるが勝ちの弱くて抜け目ない小男っていう設定だったんだね。

好きなのは、パンでダンスを踊るところ。チャップリンって孤独な人なんだなぁと思った。
それと、靴を茹でて、ナイフとフォークで食べるところ。
ハトも同じところを好きだと言っていた。
黄金狂時代のチャップリンの相棒のマック・スウェインの目がよかった。ナレーションの入り方もよかった。
それと、黄金狂時代ってよい訳ですね(原題はthe gold rush)。

2008/01/19

*–残菊物語/溝口健二

1939年。歌舞伎の若旦那と健気な妻のお話し。
溝口健二の画面を見ると、鳥肌が立つ。
歌舞伎の舞台が長々と写る。台詞もつっかかったりしている。ハトは「もっと短くできるよね」と言っていたけれど、確かにそうかも。でもどこかきっぱりしていて、間延び感はないなあ。

歌舞伎って派手でいいですね、一度観てみたいな。

2008/01/17

—ゲームの規則/ジャン・ルノワール

1938年、フランス。
冒頭から台詞が多く、せわしなく、ついていけず沈没。
ハトは好きな映画だそうだ。

2008/01/16

***虎の尾を踏む男達/黒澤明

1945年製作!!!
エノケンを初めて見た!
お話しは勧進帳です。源義経、弁慶ファンなので、得意げに、しかし不確かなことばかり、ハトに解説しながら観た。
最後の、一筋の暗雲たなびく広い空のもと、エノケンがへんてこな舞いを踊りながら転げ落ちていくところがすっごくよかった。
ドドドドド、ダダダダダ、と山伏と関所守たちが行き来するところも、よかった。
ビデオの解説には「音楽パロディー」と書かれていたが、それはわからなかった。

普通の景色を写真に撮ると、小さく写っていてがっかりすることがある。黒澤明の映画はその正反対で、ものすごく「見ている」感じがする。望遠鏡から覗き込んでいるようだ。やっぱり黒澤明の映画、大好きだなぁ。

2008/01/14

*–家庭日記/清水宏

1938年。
筋書きは起承転結にあふれ、登場人物はどこか翳りがあって。まさにホームドラマ、それ以下でも以上でもなかった。配役がよかったな。
東京から八王子に向かうとき、くねくねとした山道をとぼとぼ歩いていく。八王子って昔はそんな山奥だったんだなあ。

2008/01/12

*–反逆児/伊藤大輔

反逆児、というタイトルにすっごく期待していたら、徳川家康の息子、信康の話だった。
あ、カラーだ!ハトは横で「白黒ならよかったのに」と言ったが、確かに中途半端なカラーだった。
戦国時代に生まれなくてよかったとつくづく思う。部屋(お城のね)が広くて感心する。建築やしきたりなど様々な様式がおもしろい。
時代劇っておもしろい。生き様にルールがあるからか。

2008/01/12

**-恋人たち/ルイ・マル

1958年、フランス映画。
光がとてもきれいだった。最初の木立のざわざわした感じ、ポロのグラウンドの白さ、夜の盛り場、部屋に鳥が侵入してうつす影、そして月、いろいろな光があった。
特に夜の遊園地の光にわくわくした。欧州の田舎の、どこかの屋敷に向かうときに並木道を通るシーンがあったりするけれど、好きな景色だなあ。最近邦画をたくさん見ているけれど、洋画の景色の方に懐かしさを覚える。
ストーリーはふーんという感じ。「あ、そろそろ終わりかな」と思ってからが長い映画だった。

2008/01/08

***雨月物語/溝口健二

1953年。
薄暗く、ぐるぐると回る画面がすごい。幻怪でおどろおどろしい中に、あでやかな感じもあった。京マチ子がすごかった!
建物の裏がすぐ琵琶湖畔で葦が生えていたりして唐突に感じるけれど、昔はあんなだったのだろうか。

昔の映画などで終演後のエンドロールがないの、好きだなぁ。

2008/01/01

**-按摩と女/清水宏

1938年、母親が生まれる前の映画ですよ。
しつこそうな按摩と、きっぱりした女って設定がよかった。話しもおもしろい。
高峰三枝子がものすごく美人だった。橋の上、傘を差して立っている像が瞼に残る。

2007/12/31

***麦秋/小津安二郎

1951年、東京物語の2年前の作品。
おもしろかった。
ときどき人がいなくなった空間が写る。そこに登場人物の心情が残っているようで、ため息が出た。カメラが動いて、静止画だったことを思い出す。写らないものが、撮られている。
小技もきいていて、何度も声を出して笑ってしまう。いろいろな設定が東京物語とほとんど同じことにも、また笑った。おもしろいのだ、参った。
笠智衆、東京物語より20~30歳年下の設定。すばらしい役者だ。原節子も、何考えているかわからない人を演じさせたらそれは上手。

2007/12/30

**-わが谷は緑なりき/ジョン・フォード

1941年、ジョン・フォード。
小さな丸窓から、白黒の絵を覗き込んでいるようだった。
よい話し。久しぶりに、温かい涙が出そうになる。いいこといっぱい言っていた。
このまま延々と映画は続きそうなのに、急に終わった。

2007/12/23

***東京物語/小津安二郎

小津作品はアキ・カウリスマキと並んで催眠効果が高い、それが前に観たときの感想だった。
それが今回で一新!すごくおもしろかったぞ。
冒頭からカメラの位置が低くて驚く!とても微妙なカットが次々と。
棒読みのような、俳優がいいなあ。声を発する前にちょっとした間がある。
団扇がぱたぱた。フィルムが回転している音まで聞こえてきそう。
すべて、説明してくれる。のんびりしているようで、けっこう展開している。
ああ、確信犯だったんだ。

「いやになっちゃうなぁ、ほんといやになっちゃう」
ああ、そういえば母も昔、こういう言い方していたような。しばらくハトに口真似して遊ぼう。

2007/12/15

*–めし/成瀬巳喜男

すごいタイトルだ。原作は林芙美子。内容や展開も想像通り、それでもまあ楽しめる。
テンポ速くてよい。そもそも昔のフィルムは回転速いのかな?
ハトに、「原節子と宮沢りえは似ているね」、「子猫と娘のFのしぐさはそっくりだね」と言ったら、どちらも同意してくれた。杉村春子とホコイ先生が似ている、というのはハトはホコイ先生(大学のときの隣の研究室の先生)を知らないのでわからないそうだが、杉村春子はいいね、というのには賛成だそう。終始気楽だった。

ビデオにはさまれていた解説書に、成瀬巳喜男は「やるせなきお」とあだ名されていたと書いてあった。ありがたくない。

2007/12/14

*–用心棒/黒澤明

へんてこな音楽で映画が始まる。白黒の横長な画面、荒野、男。ああ、わくわくするなあ。
仲代達也が出ていた。役者だ!こういうのを大粒っていうんだろう。多くの出演者がそのまま夢に出てくるような、強烈な印象。
劇場で観てたら、きっと周囲の笑い声でいっぱいだろうな。楽しめました。

2007/12/09

**-スピード/ヤン・デ・ボン

次から次へと「ありえない」が押し寄せて、ためらう隙なんて与えずに次々に展開していく。それでもぎりぎりのところで乗り遅れないように引っ張ってくれるからとってもスリリング、エキサイティング。

1994年作。え、そんなの前の作品?もっと新しい映画のような気がしていた。
1994年といえば、大学受験の年で、それもそのくらい昔の話しになったということなんだろう。

2007/12/06

**-セブンチャンス/バスター・キートン

1926年のサイレント映画です。ラルティーグの写真のような画面で、軽快なピアノ曲に、休符のような字幕、サイレント映画もたまにはいいなぁと思った。
ビデオケースの裏に筋書きが全部書いてある。全部ですよ、全部。
たしかに筋書きは字幕でちゃちゃっと済ませる感じで、ほとんどが細部の描写だった。芸が細かく、そして過激で久しぶりにお腹が痛くなるくらい笑った。
バスター・キートンは走るのがすごく速かった。みんなおしゃれしていてよかった。

2007/09/25

***バグダッド・カフェ/パーシー・アドロン

この映画も何度観たことだろう。
といっても映像の雰囲気と、音楽以外はすぐ忘れるから何度でも楽しめる。

浅葱色と、朱色と、白色のグラデーション。
乾いた空気の光の感じ、描けたらいいなあと思う。

日が暮れることとか、ハイウェイとか、どうしてさびしいのだろう。
空気が乾いていて、どこまでも澄んでいて、この世界は大きくて、途方もない、そこに立っているときの、自分自身がちりぢりになる感覚。
映像と音楽の糸は、そういう感覚を震わすことができるのだ。